2019年05月19日

大戦の中に ある真実 「トラトラトラ」

大戦の中に ある真実 「トラトラトラ」


「トラ トラ トラ」。 いわずもがな、あの大戦の火蓋が切って落とされた「真珠湾攻撃」。その総指揮官であった淵田美津雄氏(S51、享年73歳)。厳寒の千島 単冠湾出撃の空母赤城を飛び立った、極限の訓練を経ての360機。作戦完遂。自己機の致命的損傷を顧みず、部下機の帰還をすべて見届け帰還。大和魂「してやったり」。
大艦巨砲主義(大和)から航空機主義への転換を上層部に進言しながらもかなわず、ミッドウェー海戦、レイテ沖海戦と連戦。自らの命(生死)とともに駆け抜ける。敗戦。原爆投下。軍の命により翌日現場調査に立つ。同僚は被爆死。阿修羅の世界。運命。そこに去来した言い知れぬ思い。ミズリー艦上での降伏調印に立ち会う。憎き敵将マッカサー、ミニッツを眼前に。その後東京裁判の証言に幾度と立たされる。

回心。 戦後アメリカへの伝道。「ノーモア パールハーバー」「憎しみの連鎖を断ち切る」
それは、キリストの救い。

・淵田は占領軍による調査召喚で上京時、元東京空爆撃手(真珠湾の仇)の手記「私は日本の捕虜だった:ディシェイザー」をなにげなく宣教師から受け取る。
ディシェイザーは空爆後不時着。日本軍の捕虜となる。獄中鞭打たれ、同僚を失いながらも彼はある時聖書を手にする。「誰でもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである」ディシェイザー自身もまたキリストにうたれ回心。 憎しみの自爆から解放されたのであった。

・「勝者の裁判」に屈服するを潔しとせず、米軍に不利な情報集めをしていたところ、アメリカ帰還捕虜兵からの期待どおり残虐な待遇話を聞かされる。が、その中にひとつマーガレット・コヴェル(介護婦)についての話を聞かされる。 収容所での彼女の全くの献身的態度に皆心を打たれたと言う。後に淵田が調べてわかったこと。彼女の両親は日本での宣教師であった。戦況の悪化でフィリピンに避難。そこで日本軍にスパイと間違えられ、処刑される。その間際まで目隠しのまま二人は祈りをささげ続けた。「かくてイエス言い給う、父よ、彼らを許したまえ、その為す所を知らざればなり」ルカ:イエス十字架の際の言 赦されるべきその対象こそ淵田であった! 回心。

・「キャプテン、この子、私の息子ですけれど、この子の頭に手をおいて祈ってやってくれませんか!」アメリカ伝道でのひとコマ。その婦人のご主人は真珠湾の際、沈んだ戦艦アリゾナの砲台長であった。その時お腹に子供がいた。「私は日本を恨んできました。しかし今日、キャプテン淵田のあかしを聞き、神のみわざの奇すしさにふるえがとまりません。この子は父親を知らず、その故にかたくなでイエスを信じようとしません。どうぞこの子をお救いください!」
10年後、ある集会でのこと。20名ばかりの陸軍士官学校生の中に立派な青年が淵田の前に現れる。それはあの時の子供であった。

戦争はお互いに相手への無知から起き、アメリカにも非のあることだ。相手に日本人の何たるかを理解してもらい、自分もアメリカ人を知ろう。集まってくる多くの聴衆に戦争の愚かしさと憎しみの連鎖を断つことを訴え続けた。

後に、淵田はアメリカ伝道の過程でニミッツ、マッカーサーそしてトールマン、アイゼンハワー大統領とも面会。 恩讐を超えた出会いを果たす。 ミニッツはことに彼を温かく迎え入れ、淵田は彼を「神を恐れる者」と評している。

憎むとも憎み返すな憎まれて  憎み憎まれ果てしなければ  :新渡戸稲造

                      真珠湾攻撃総隊長の回想
                      淵田美津雄自伝 中田整一著 参照に



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Posted by 大谷 真洋 at 07:37│Comments(0)歴史と文明・未来
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